Tech Hunting 101

テックなカンファレンスの中の人です。主に海外出張先から、速報をまとめます。

日本の常識は通用しなかった、SURGE(インド最大のスタートアップカンファレンス)Center Stageまとめ

 SURGEとは?

2/23-24にバンガロール郊外で開催。ダブリンで開催される4万人が来場する大規模スタートアップイベント= Web Summitの、インド版。今年初開催で、200スタートアップ、来場者5,000人を記録した。参加者は9割方ローカルで、インド人のインド人によるインドのためのカンファレンスといった様子。

 

今回は、ad:tech tokyoのInnovation Zoneへの出展誘致のため、またグローバルで活躍するイノベーターのスピーカー誘致のために、バンガロールはSURGEに参加した。2日間の会期中、3ステージでセッションが繰り広げられる。今回は、Center Stageで話されたトピックについて簡単にまとめたい。

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オープニングはPaddy から。Web Summitの発起人だ。アイルランドの身内仲間300人で始まったイベントが、4年間で44,000人が訪れるグローバルイベントに成長するとは凄まじい。メインステージは彼中心に進行される。

 

第1回目の開催で参加者5,000人は予想外だった、素晴らしいとの賛辞。同じインドといえど国土が広いので、北部の人からしてみればバンガロール参加は軽い海外出張に近い。最後の1週間で1,000人からの応募があったそう。(それだけ参加費とれたならエアコン対応するとかWi-Fi整備するとかトイレ綺麗にするとか飲食無料にするとかしてよー涙!!と溢れる思いが止まらないが今は割愛。)

 

 

続いては、インドスタートアップ界の英雄の「Snapdeal」CEOが登壇。

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モバイルエコシステムについての話。前提として、インドは日本人からは想像もつかないくらいのモバイル大国だ。驚いたのが、Rohit氏が会場に「PCへのアクセスがない人は、手を挙げて。」と問いかけたところ、少なくない数、恐らく5%前後の人が手を挙げたこと。最低でも入場に$400がかかるそれなりのイベントに参加している人々で、この割合だ。スマホの普及とインターネットの普及時期がほぼイコールだったため、インターネット接続=スマートデバイス、が当たり前なのである。

・モバイルを制するサービスとは、頻度がすべて。接触回数の多いサービスが勝つ。そのためには、データを活用し行動を予測、ユーザーの痒いところに手を先回すテクニックが必須である。

・急成長を遂げるビジネスの成功の秘訣については、人材が宝。人材雇用におけるミスマッチをほとんど経験していないと。事実、2010年以降買収した会社のボードメンバーは未だ誰も辞めていないのだそう。会場からも感嘆の声があがった。

・アプリかWEBか論については、アプリと断言。その一番のポイントは、ジオロケーションが的確に取れる点アプリが優れているとのこと(ジオ系サービス、出展も本当に多い、これは後述)。

・アプリのダウンロードつまりユーザー獲得については、Advertisingに頼るのは無謀、コンテンツマーケティングがすべて。

 

続いて、Health Careの話。

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テーマはHealth Care。前提として、インドは、医者が余っているらしい(ただし富裕層の世界に限る。何故か貧困層の話題はほとんど出てこないので割愛する。なんでだろう...。)ちょっと日本からは想像もできない環境なのだが、医者が余っているので、医者と患者のマッチングのようなサービスのスタートアップがものすごく多い。また、欧米諸国のお金持ちが自国での治療が高すぎるので、インドに手術と入院を求めて渡航したりする。

そんな環境もさることながら、インドはラッキーだと語っていた。インターネットの普及と社会インフラの普及がほぼ同時期に起こったので、いわゆる病院や政府など先進国ではなかなか動かしづらい組織も、適応能力がものすごく高いのだ。

このサービスは、いわばカルテのオープンプラットフォーム化で、過去同じような症状からこんな病気になった人がいるから、あなたも疑いがあるのでは、と推奨したりしてくれるもの。

※上記記載したような社会インフラや環境といった前提条件の違いから、相手が何を話しているのかちんぷんかんぷんになることが多いのだが、1日目の午後くらいから慣れてきた。

 

 

そして、こちらもSnapdeal同様立ち見が出ていたスタートアップセッション。

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アジアのシリコンバレーとも言われるバンガロールシリコンバレーがインドから学べることは?が最初の議題。答えは、ローカライゼーション。公用語だけで18言語もあるインド、また欧米諸国や日本からは考えられないくらい階級が細かく設定されている、そして貧富の差がものすごく激しい。大きく二つ、恐らく地球上で一番の言語と購買力の複雑さから、巨大な市場規模にもかかわらず独自の発展を遂げている。その点はシリコンバレーも、今後サービスを国外に広げていく上で、大いに学ぶノウハウがあるだろうとの見解。

海外からインドに進出する上でのアドバイスについては「まずは現地に来い、そして住め!」とのこと。理由は、社会のエコシステムが全然違うから。言語対応して、あとはオンラインマーケティングだけでどうにかなります、という常識は全く通用しない。

インドにおけるおすすめの起業分野については、「人口」を強みにできるサービスが勝つ、との意見。中国を凌ぐ勢いで人口増え続けていますからね、納得です。実際には、「Financial、特にSMBへのLending系」「Healthcare」「Education」が3大ブームではとの見解。(Financial以外は、出展会場をみていても納得、3歩あるけばEduかhelth状態でした。Financial系が少なかったのがかなり意外。)続いて、「Agriculture」「Cyber Security」があげられた。

そして最後の締めに、色々あるけどインターネットに全員が接続できるようにすることが大事だ、というフレーズがあり、それにはものすごい納得感があった。

 

他にもDuolingo CEOの話、Digital Ocean CEOによる成功するスタートアップのフレームワークが面白かった。仕事でインドに来たのは初だが、面白いな、と思う話は、やっぱり人が入っていて、うーんちょっとよくわからない、と思う話は人がまばらだったりするので、その辺の感覚は世界共通なのだど確認できた。

 

以上、Center Stageのまとめでした。

 

 

Appendix:

・ インドのスタートアップって?→出展起業まとめ中。量が膨大すぎるためもう少々お待ちください。

・ 「要約しすぎ!もっと詳細書け!」→ブログだけだと心が折れそうなので後日noteに公開する予定です。何卒よろしくお願いいたします。