CES2016-Eureka Parkを走り回った感想:めまぐるしく面白い。
◎はじめに:CES
CESとは、Consumer Electronic Showの略で、ラスベガスで毎年開催される世界最大級の家電市。世界最大級とはその名の通りで、出展数は4,000社近い。加えてカンファレンスも多く開催されます。来場者はなんと17万人、知り合いとバッタリ遭遇するのは至難の技。今回は、Eureka Parkを学びにいくことをミッションに、初めて参加してきました。
◎1月8日, Eureka Park
Eureka Parkは、スタートアップ企業が集まるエリア。訪れる前は、本当にスタートアップだけで1日もかかるだろうかと半信半疑だったが、実際足りない。スニーカーで1日駆け回っても、時間が足りないくらい。500社ものスタートアップが果てしなくたくさん並んでいる。Eureka Parkは去年の1.5倍近くに成長、しかも一昨年にはなかった?そうで、ほんのここ1-2年の急成長ゾーン。来年はさらに倍以上になり、Sands Expo全体を占めるようになるのではないでしょうか。テーマでゾーン分けは一応されているものの、厳密ではない。突っ込み所満載な出品もあって、それがまた面白い。ともかくものすごい熱気だ。
1日歩き回っていて、印象に残ったポイントまとめる。
① IoTは大前提
ハードウェアがInternetに接続されていることは大前提に。その前提の中で、いかに便利に快適に、IoTデバイスを活用するかを焦点においたサービスが目立った。例えば、
-充電を簡単に。1時間の運動で5時間分充電できる。
-防水
あなたのスマホを防水加工します、といったサービス。iPhoneもその場で対応してくれる(一度開いて、中にフィルタリングをかけるらしい)。ローテクといえばそうなのだが、長蛇の列ができていた。
Nanoflow X - Worlds Fasted Waterproofing System
ほかには、セキュリティサービス(後述)など。いまの生活を便利にする、スプリンクラーや火災報知器などの既存ハードウェアのネット接続化、また家事代行のさらに先を見据えたサービスが多かったように思える。
②ヘルスケア
ありすぎて、きりがない。なかでも、睡眠関連が多かった印象。一方、Eureka上の通常のWearable出展では、ハードワーク系の健康管理器具が目立っていたから、そちらはもしかするとある程度成熟市場なのかもしれない。
-マッサージ。電気針治療を受けた感じ。こちらは針ではなくシリコンシールですが。
-睡眠。睡眠サイクルを理解しつつ、音ではなく"香り"で快適に起こしてくれる。
-健康管理。体にペタっと貼るだけ、防水完備。(KickStarter支援のサービスはどこも人だかりがすごいのです←発見)
③フード関連
来年は、Foodゾーンができる気がする。それくらいバラエティに富んだ出展がありました。ヨーロッパ系企業が強い印象、さすが食の国。ごく一部ですが、人が集まっていたブースから一部ピックアップ。
-家事代行。フライパンにいれると自動クッキングしてくれる。この手のサービスは多く目立った。
-アレルギー診断。試験管に入れると、ナッツ、乳製品などの含有量をアラートしてくれる。
-家庭用ビール醸造器。麦から作ってくれる、コーヒーメイカーと同じ発想。(こちらもKickStarter)
-ソムリエ機。好みにあわせて、適度に酸素を混ぜてくれたりするらしい。
10-vins : le vin au verre à la maison
④フランス勢の勢い
Eureka Parkには、一部、お国別のゾーンもある。フランス、ドイツ、イスラエル、中国、台湾、韓国、など。中でも一際目を引いていたのが、フランスゾーンだ。La French Techとして、ニワトリのマークを筆頭に2列占領していた、40社近く出展があったと思う。またこのゾーン以外にもフランス企業は皆このニワトリマークをつけていて、国としてイノベーション領域に力をいれているのが感じられた。
元々、イノベーションやスタートアップといえば、アメリカ!西海岸!のイメージが強かったのですが、地球規模ではそういうイメージは薄いみたいで、「いま、ヨーロッパが熱い」風潮のよう。La French Techや、ドイツの似たような団体の人と会話していても感じたのだが、もともとヨーロッパはものづくり、商人の国で、ギルド文化もある。どちらかというと原点回帰的な流れなのだと思った。
⑤VRデバイスが至る所に
①に関連して、もう当たり前の存在になっている感があった。サービスとして出展しているのはもちろん、付随サービスとして展開している場合もある。たとえば、VRデバイス用の360度カメラや、FPVで映像を楽しめるVRデバイスと連動したドローンなど。ただ、一番目立ったのは、自社サービスをよりよく伝えるためのコミュニケーションツールとして、VRデバイスを活用しているパターン。それくらい、当たり前の存在になっている。VRデバイス自体を出展、の例はあまりない。この当たり前化に驚き。
⑥自分”以外が使う、ウェアラブルデバイス
全体として、特に赤ちゃんやペットなど、言葉を発することができない身近な存在をターゲットにする出展が多かった。逆に、数に対して少ない印象があったのが、女性向け、老人向けのサービス。特に女性向けについては、気軽なデバイスも多くできると思うし、今後の注力分野だと思った。たとえば、マシンに顔を突っ込んだらプシュッと一瞬でメイクを完成させてくれるような、そういうガサツな女子向けのサービスだったり、今から1時間後に生理くるぞきますよーとアラートくれる機能がついてるウェラブルなど。会場が男性8割(目でみた推測)なのも影響しているのだろうか。そんな「あんなこといいなできたらいいな」と夢の広がる、前向きでとても楽しい空間であることは間違いない。CES、楽しい!
⑦著名人もいる!
人だかりができていて、近づいてみたら、かのセキュリティソフトで有名なジョン・マカフィー氏がいた。IT業界のスーパースターである。最近出馬もするとかしないとか。そんなマカフィー様が、新しく立ち上げたEVERY KEY のPRのために、ふらっと出展ブースにいらっしゃった。見た目は、何の変哲もない、普通のブースだ。ブースまで、日毎にインタビューを受けに来ているのだそうだ。特にセキュリティもおらず、なんだ?あの人が集まるブースは?程度で普通は気づかないくらい。もしかすると、他にも有名人がいっぱいいたのかもしれない。このぐちゃぐちゃな雰囲気、最高です。
CEOと会話ができたのでいろいろ聞いてみたところ、いま社員は5名で、イベントへの出展は初めてで、どうしていいかわからなくて大変だよ、と笑っていた。4月目処にオンラインで受付開始するらしい。楽しみですね。
メモ:Eureka Parkでは、誰とでも気軽にネットワークできる。
Eureka Parkは、めまぐるしく面白い。
行ってみて、丸一日を費やして、良かったです。
(ちなみに、翌日に訪れた、大型ブースの並ぶ、West Expo(いわゆるCES王道のゾーン)も想像通りで、すごい迫力だった。SONYブースの一画のスタートアップゾーンや、Oculus、サムスンのVRゾーンが盛り上がっていた。ただ、ここは1時間半しか滞在していないのでレポートからは割愛します。)
今回は、全体の潮流もみるうえで、個人として欲しいデバイスがみつかるか?も一つの着眼点にしていた。日本の普通の27歳の会社員が、自分で買いたいと思えるかどうか、だ。それに関しては、答えは多くYESだった。というのも、Eurekaにおいては数十ドル程度の出展がとても多い。家事代行ロボットなど1,000ドル越えのものもあるが、マッサージマシンも$200、防水サービスも会場で$38、充電器も$30-100、全然手の届かない範囲ではない。良識的な値段だと思う。値段を聞いて、ギョッ!としたことは一度もなかった。発売前の少量限定生産の段階で、これだけコストを抑えられているのは素晴らしい。私も、充電器と、スマホを使いやすくするタップはオンライン登録してみた。(残念ながら、日本在住だとShipping Feeで結局、倍近い金額になってしまうのですが。。)
人気を博していたのが、様々なhover board。強いて言うなら、棒なしのセグウェイ。つかまるところがないのでものすごく難しそうなのだが、実際は見た目程大変ではなく、とても楽しかった。
運動神経ゼロの私でも、5分練習すれば補助なしで動き回れるようになった。きっと1時間練習すれば、よくでている動画のように乗りこなさせそうだ、という実感もあり。価格は$700-1,000。少し高い自転車を買うと思えば、手が届く。
Eureka Parkに1日いたのは、まるで、最先端のショッピングモールに来ていたかのような気分。1日中、興奮できるワクワク空間でした。来年は様変わりしているのが今からでも確信できる。
2016年も、新しいEureka「!」がたくさんありそうで、とても楽しみです。